N O T E S

 音量の不足をおぎなうために、あれこれ工夫された一つの手段
 楽器としてのこのあたりの成り立ちは、ギターなどと全く一緒です。クラシックの世界でも音量が大きいことが下品とされたバイオリンが、大編成や大観衆の前でのコンサートなどの発達につれて、立場を逆転し主流に躍り出てきたように、いろいろな楽器が一緒に演奏し、しかも大きな会場でもコンサートができるように、あらゆる工夫がされてきました。電気の導入以降は、その分野の発達はめざましいものがありました。

 まず、歌を大きくするためのマイクの導入から、ギターやピアノやらにあらゆる試みがされた、といえます。ただ、このへんでは「単に音をいかに大きくするか」が目的であって、電気を導入したことにより楽器や音楽が変化するということは考えられてはいなかったでしょう。時代を追って、ギターの場合は機械部分だけではなく、楽器部分もエレクトリック楽器化に合わせて特化していきましたが、バイオリンの場合は、バイオリンとしての楽器部分は通常のと同じようにつくられているのがほとんどです。ギターは楽器の変化によって、全く新しい音と演奏スタイルをつくりだし、その結果としてロックの誕生に大きく貢献しました。バイオリンの場合、このへんはまだ発展途上にあって、中途半端とも言える状況ではありますね。
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