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 5弦、6弦の多弦モデルや、オクターブ下のチューニングをするバリトンモデル
 こういう通常でないバイオリンの場合、使用していく上で問題になるのは「弦」ですね。Mwtoもその問題で長年手を出しかねていたのですけれど、 Swedenのバイオリン奏者Robert Koppen氏からのメールで、いくつか解決のヒントを頂きました。
 1) 5弦目のC弦には通常のビオラ弦ではなく、3/4サイズ用のビオラ弦を張る
 2) それより低いF弦などには、子供用のチェロ弦を使う
 3) いくつかのメーカーはF弦、オクターブ低いチューニング用の弦を、表だって出してはいないが生産している
Robert氏は趣味でバイオリンを弾いている方ですが、お父さんとの共同でエレクトリックバイオリンやピックアップを自分でも開発/試用している方で、すでに1)については開発済みで、良好な結果を得ているようです。こんどは6弦モデルを制作中で2)と3)について検討している段階だそうです。

 子供用の弦を使うのは全く今まで考えつかず、まさにMwtoにとってコロンブスの卵的な発想でした。5弦目に(通常手に入るロングスケールの)ビオラC弦を張ると、弦長が長すぎて糸巻きにとぐろを巻いたようになるし、テンションも他の4弦とのバランスが悪く、5弦目だけ別の楽器のようになってしまいます。この2点に関しては、3/4サイズ・スケールの弦では劇的に改善されました。残る問題は、3/4サイズだと弦の種類が限られることと、日本には輸入されていないことですね。Mwtoはアメリカから通販で入手しました。

また、2003年にダダリオからヘリコアの5弦バイオリン用セットが発売されました。これは当然ながら弦長がバイオリンサイズのC弦です。テンションも弾き心地も演奏感も音色もまったく違和感なく、まさにバイオリンとして演奏できます。ダダリオは海外への輸出制限をしているので、通販が難しいのですが、国内代理店ルートからすこしずつ流通するようになってきているようで、クロサワ楽器などで購入できるようです。

 また、F弦、バリトン用の弦についてですが、F弦はSuper-SensitiveとThomastikが作っています。このバリトン弦は通常のバイオリンに張って、オクターブ低いチューニングをするものと、F-C-D-Gのチューニングにするもの、さらに5弦や6弦用などもあるようです。Thomastikの方はメーカーに特注しないとならないようですが、Super-Sensitiveに関しては、Sensicoreのビオラ用のF弦、Bb弦という形で多弦モデル用の弦がカタログに載っていて、日本では流通していませんが、普通に買えます。バイオリンにはIntermediateサイズのビオラ弦を張ってくれ、と言うことだそうです。

 Sensicoreのオクターブバイオリン弦と、ビオラ用のF、Bb弦を入手し、使ってみましたが、バイオリンの弦長で出す音域上の無理があり、弦の品質の問題もあり、オクターブバイオリンのC弦と、ビオラのBb弦は、普通には弾けない感じです。とにかく太すぎるし硬いし、その弦だけ弾き方を変えないとまともに鳴らないし、鳴らすのに精一杯で音色のコントロールと言うところまでは行きません。オクターブバイオリンは4弦ならば普通には使えます。また、ビオラもF弦までは問題なく演奏でき、増えた音域は今までにない世界を拡げてくれる感じです。
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