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 小さなPA的なシステム
 アンプにしろPAシステムにしろ、色づけのされないシステムというのは事実上はあり得ません。オーディオの世界で、何年「原音忠実再生」と言う言葉が使われてきたか。どれほど高価なシステムでも、同じアルバム、同じ楽曲の聞こえ方が違う。程度の差はあれ、やはりどこかでデフォルメは行われているのです。増して、PAはオーディオとは比べものにならない音量まで上げるため、オーディオのような忠実さは困難でした。

 最近のPA関係の機材の発達はめざましく、ものすごく規模の大きいオーディオセットと言ってもいいくらいデフォルメの少ないものになってきています。ですから元の楽器の音をしっかりと扱いやすい状態で拾っておけば、ほとんどイメージを変えることなく大きく出すことができます。

 エレアコバイオリンのほうは、ギターアンプで鳴らすとそれぞれの持つ色がぶつかりあってしまうので、小さなPAシステムに近いような機材を組んでならすことにしています。これだとデフォルメは最小限に抑えられ、バイオリン本体の持つ音がそのまま大きくなったように弾けます。ちなみに最近はバイオリン→YAMAHA AG-STOMP→BEHRINGER MX602ミキサー→YAMAHA P5000パワーアンプ→ElectroVoice EV-12Lスピーカー(1ペア)と言うセットアップが多いです。このセットでは音をいじれる部分はAG-STOMPだけで、あとはボリュームしか変えられません。が、ピックアップをL.R.Baggsにしてから、イコライザーで状況によりちょっと気になるところ (たいてい500〜600kあたりのどこか) を2dbくらいカットするくらいで、ふつうは素通しです (多くの人の場合カットするハイはむしろ持ち上げることがあるくらいで、カットすることはまずありません。また多くの人がブーストするローも、会場によってカットすることがあります) 。AG-STOMP内蔵のエフェクターは、リバーブを薄めに、ディレイは時々により変えながら使っています。

 ただし、このシステムでも音量が大きくなってくると、スピーカーが楽器用のものなので、そのクセが強くでてきて演奏の邪魔になってきたりします。以前スピーカーも小規模PA用を使ってたことがあり、こちらの方が大音量にしていっても音色が変わらずに使えました。ただし、どうもクセがなさ過ぎるのか、弾いたときの反応が一瞬遅れるような感じがして、自分が弾いてる実感が薄くなってしまう感じがあり、どちらをとるかは相当悩みました。このへんはあくまで感覚の問題で、楽器としてのアンプ部分の難しさがここにあります。

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