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バイオリン(Violin)とは

バイオリンとはバイオリンファミリーに属する楽器のなかで、もっとも高音部のパートを担当する楽器です。バイオリンファミリーの楽器には、他にビオラ (Viola)、チェロ (Violoncello) があります。歴史的には、他に派生したものが色々あったようですけれど、いま現在一般的なのはこの3つに絞られるようです。

これに対し、もうひとつビオル (VIol) ファミリーと言うグループがあり、その代表としてはコントラバスがあります(ダブルベース、ウッドベース、アップライトベースなどと呼ばれることもあり、基本的には同じものです)。

バイオリンファミリーの特徴は 

  • 5度間隔のチューニング (バイオリンでは低い方から ラシドレミファソシドレ とチューニングします。その音を一度として、次の音が五番目になるので五度間隔というわけです)
  • フレットがない
  • ボディの裏板(背板)がカーブしている
  • 魂柱(こんちゅう 英語ではsound post)がある
  • と言ったところがあげられるでしょう。

    ビオルファミリーは

  • 4度間隔のチューニング (コントラバスでは最低音のミの上はラになります)
  • フレットを持つものがある(ビオラ・ダ・ガンバなど)
  • 裏板が平ら
  • 魂柱がないものがある(Contrabassにはあります)
  • と言った違いがあります。ただ、長い歴史の中で色々と工夫と改良がされてきていて、例外も多くあり、必ずしもこの通りでない場合もあって、分類は難しい面もあります。mwtoもフレット付きのバイオリンの写真を見たことがあります。
    フィドルとバイオリンは全く同じものです。歴史的に見ても、言葉としてどちらが古いとか正式だとか言うことはなく、mwtoの調べた限りではどちらを使っても間違いではないようです。

    楽器よりも、音楽のスタイルにより多少の使い分けは存在します。(たぶん日本に限ってだと思いますが)バイオリンはクラシック音楽の時に使い、フィドルはカントリーやアイリッシュなどの民族音楽などの時に使うことが一般的のようです。とは言え、ジャズやロックの中ではバイオリンということが多いし、けっこういい加減です。「Fiddler on the Roof」だって、日本語タイトルは「屋根の上のバイオリン弾き」ですしね。最終的には、プレイヤー本人がどっちで呼びたいか、どっちで呼んで欲しいか、で決まるようですが。


    初心者用の楽器と言うものは存在しません。子供用の小さな楽器(分数楽器と呼ばれ、1/8サイズとか表現されます)があえて言えば初心者用と言えるくらいですが、作りそのものは一緒です。初心者でも上級者でも「良い楽器で練習すれば上達は早まる」と言う原則は正しいのです。ただし、ある程度までは楽器の善し悪しは値段に比例していきますが、100万円よりも200万円の楽器の方が必ずいいか、と言うとそうでもありません。

    こういうところで悩むのは、いわゆるレイトスターターと言われるような方だと思いますので、数千万などの高額な楽器は考慮対象から除いて考えます。それでも、じゃぁ、「ある程度」って言うのはいくらのこと?と言われると、実はとても困ってしまいます。お店によっても違うし、ものによっても違うし、古いから高い、新しいから安い、と言うこともないのです。制作された国や、古いものでも、履歴によって全く変わってきてしまうし。反論覚悟で乱暴に言ってしまえば、20万円くらいからではないか。これくらいの値段になると、けっこう古いが手入れがされている楽器もあるからです。


    古い楽器の方がよい楽器と言うことは全くありません。バイオリンはとても寿命の長い楽器で、有名な名器「ストラディバリウス」は17世紀後半から18世紀前半に作られたものですが、その性能のピークは21世紀前半くらいではないか、と一説に言われているほどです。だから、何百年か前に作られた楽器などもごくありふれているし、長い歴史の中で修理の技術も発達しているので、修理歴が明らかな楽器でもけっこうなお値段の付いているものがあります。すべてはその楽器次第なので、バイオリンを選ぶときはとにかく弾いてみないことには分かりません。

    選ぶときは、単に弾いてみるだけでなく、少し高いのとか安いのとか、多少の幅を持たせた範囲内の楽器を出来るだけ何台も試奏すると良いと思います。善し悪しだけでなく、性格も違いがありますし。自分で弾けない人の場合は、弾ける人に付いていってもらい、目の前で弾いてもらうと良いでしょう。一本では分からなくても、何本か弾いてもらうと違いはほんとうにはっきりしています。新作の同一モデルでも、個体差ははっきりとしていますから、状況の許す限りのたくさんの個体の試奏をおすすめします。


    アコースティックバイオリンよりもエレクトリックバイオリンの方が簡単と言うこともありません。どちらも基本的な音の出し方は同じだからです。むしろアコースティックバイオリンの方が楽器としての完成度が高い分、基本的な奏法を覚えるには早道かも知れません。音量の面でも、練習用の金属のミュートがあり、これを使えばかなり小さな音になります。エレクトリックバイオリンにするかどうか、はどういう音楽、環境の中でバイオリンを弾いていきたいか、によって選ぶ方がいいと思います。

    このあたりが、指、付け爪、ピックなどさまざまな手段で弦を弾くギターと決定的に違うところですね。この奏法の多様さが、エレクトリックギターを独自の道へ引っ張っていった大きな力になったのは確かです。バイオリンは弓で弾いてナンボですから。

    知り合いのミュージシャン、ホッピー神山氏は、本来はキーボーディストですが、安いピックアップ付きのバイオリンを買ってきて色を塗り、すぐにステージで弾きまくっています。彼は弓を使わず、ギターのように抱えてストロークでかき鳴らし、ディストーションなどで歪ませているのです。バイオリンの常識からは思いっきり外れていますが、ステージを見れば楽器として十二分に機能しています。エレクトリックバイオリンとしてはある意味では王道的なアプローチではないか、と私は思います。

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